はじめに:秘境の滝を求めて、いざ出発!
こんにちは、たまゆりです。
今回は、和歌山県新宮市にある秘境の滝「筆薮滝」「部屋滝」を目指します。
途中の道路は水害によりほぼ完全に崩落しており、20分ほど道なき道を進みます。
すると目の前に現れるエメラルド色の天然プールのような筆薮滝!
ここからさらに険しすぎる山と沢を歩き、奥地にある部屋滝を目指します。
大変な思いをしても見たい、そんな滝へLet’s Go!
YouTubeにも詳細なレポート動画をUP しています。
水音と美しい水の風景にあふれた動画になっているので、暑すぎる毎日、ぜひ再生して涼んでください。
滝の里、崩壊した林道
今回目指す二つの滝は、瀧本という集落の近くに流れる沢にあります。
瀧本は、その名前の通りたくさんの滝がある集落として知られており「瀧本四十七滝」とも言われるほど。
この集落までのアクセスも、削れたアスファルトのぐねぐね道を15kmほど進まなくてはなりません。
ですが、これまではまだ序の口。
ここから先の林道はさらに道路の荒廃がひどく、車では進むことができないため、この瀧本集落に車を置いて、歩いて先へ進みます。
倒木をまたぎ、メートル級の巨大な落石を横目に見ながら20分ほど進むと…
特に激しく崩落した地点にたどり着きます。
このエリアは、2011年の紀伊半島大水害で特に被害の大きかったところ。そのときに崩れた山が生々しく残っています。
私の体よりもよほど巨大な岩が、ゴロゴロと転がっています。
自然のあまりの脅威を生々しく感じ、ちょっと恐怖を覚えます。
恐々とした気持ちでその先へと進むと…あ、滝が見えた!!!!
第一の滝「筆薮滝」は天然のエメラルドプール!
そうです、ここが「筆薮の滝」。
土砂や岩によって滝壺の水が堰き止められて、まるで天然の広いプールみたいになっているんです。
時刻は午前10時。
今でも十分美しいのですが、この滝が本領を発揮するのは、太陽が真上に昇ってきた時間帯。
いったんおあずけにして、さらに先へと進んでみましょう。
さらに奥へ…幻の「部屋滝」を目指して
目指すのは、この筆薮滝のさらに上流にある滝。
「部屋滝」という名前で親しまれるその滝は、その名前の通り狭い部屋のように聳り立つ岩壁の中を光のシャワーと共に滝が流れ落ちるとても幻想的な場所です。
これまでの道も十分に秘境感漂いすぎる道でしたが、ここから先はさらに険しくなります。
崖を登る。心が折れそうになる。でも進む。
道?そんなものありません。
先人がインターネットの海に残してくださったレポートや、先人が木に繋いでくださった命のピンクテープを頼りに、道なき深い谷へと分け入って行きます。
筆薮の滝の周りの壁を左手から回り込むように上がっていくのですが、めちゃくちゃ傾斜が急です。
天然のアスレチック状態といえば聞こえはいいけれど。
落ち葉にまみれ鬱蒼とした木々の間を、ドロドロになりながら這い上がって行きます。
下を見ると気が遠くなります。足を滑らせたら一巻の終わり。
木の根っこや幹を手がかりや足場にしながら、なんとか1歩ずつ上へ進みます。
沢を歩く。汗だくのヘルメット。表情は虚無。
ようやく筆薮の滝の上部の落ち口あたりまで登ってこられました。
表情を見ればわかると思いますが、かなりビビっています。
ていうかさ、帰りここをまた降るんだよね?え?誰が降るの?
…わたしかーーー!!!!!
本当に先に進んでも大丈夫か?という気持ちと、
あの道をまた今すぐ降るのはご勘弁つかまつりたいという気持ちがせめぎ合った結果、覚悟を決めて沢を奥まで辿ることにしました。
ここからは、たまに太ももあたりまでじゃぶじゃぶと水に浸かりながら、ゴロゴロした岩の上を歩いて行きます。
さっきの崖登りでかなり気力を使い、表情が暗いです(笑)
でも、あとはこの沢を奥まで登っていけば、憧れの部屋滝に辿り着けるはず。
必死に歩いて…
歩いて…
ルートを探して…行っては戻って…
ヘルメットの中は汗だく。目に汗が染みて痛い。
いつ着くんだ…あといくつ岩を越えたらあの滝に出会えるんだ…
虚ろな目になりかけたその時!!!!
谷の奥から、ざああああああというひときわ大きな水音が響いてきます。
ついに…!部屋滝、出現!!!
あった!!!!!!あったよ!!!!!!
部屋滝だ!!!!!!!!
はやる気持ちを抑えながら、慎重に一歩ずつ滝へと近づいて行きます。
近づくにつれて全貌を表した部屋滝は…
息を呑むような神秘的な美しさ!!!!
狭い岩の壁の一番奥に、美しくも激しい白い滝が流れ落ちています。
まわりには滝から漏れ出た水飛沫がシャワーのように舞い、そこに天からの太陽の光がさして、まるで後光のように光芒が煌めきます。
こ、神々しすぎる。
部屋滝なんてかわいいもんじゃない。
神殿の滝とでも名付けたほうがいいのではないか?
天井側の木々の緑がキラキラときらめいて、まるで大聖堂のステンドグラスの光のようです。
しばらく岩に座って、光のシャワーを浴びながらぼーっと滝壺を眺めていると、徐々に光の角度が変わって、さらに滝壺の青が鮮やかになってきました。
見たことのない色だ。なんだこれは。
本当に、滝に行くようになってわかったのですが、どの滝壺もひとつとして同じ色をしていないんですよね。
ちょっとした光の当たり方で、息を呑むようなきらめきと鮮やかな色を見せてくれる瞬間があって
ほんとうに、いつまでも眺めていられます。
部屋の中、水音と光のシャワーに包まれる至福
今日今この瞬間、この滝は、私だけのプライベート滝。
部屋というにはあまりに神々しすぎるマイルームで、1時間近く水に使ったり岩で休んだりして
幸せな時間を過ごしました。
そして帰り道、事件は起きた
さて、それではここから、勇気を出して下りましょう。
あの最初に登った険しい崖の地点までは、沢を下って行きます。
濡れてもいいように電子機器を防水バックにパッキングして、いざ、入水!
天然の流れるプールになったような淵や、天然のスライダーみたいになった岩を越えながら、泳いだり歩いたりしながら進んでいきます。気持ちよすぎる!!!
そしていよいよ最大の難所に戻ってきました。
登りではいいところにつかめる木の根っこがあって進めたところでも、下りとなるとまた別の手がかりや足掛かりを探さなくてはいけません。
最後の力を振り絞り、神経を全集中させて慎重に慎重に下ります。
ここで、トラブル発生!!!!!!!
しゃがんだ瞬間、左のお尻近くの太ももに、刺すような激痛が走ったのです!!!!!
ぎゃーーー!!!!!!と声をあげて思わずグローブをはめた手で振り払う。(本当はよくない)
まるで注射針で刺されたかのような痛み…そう、お尻を蜂に刺されてしまったのです!!!!
この深い山の斜面に、黒いピッタリとした水着スパッツで入ったのが間違いでした…。
ハチからしてみれば「自分の巣の近くに突如現れた、黒光りする巨大な物体(Siri)!!!すわ成敗!!!!」
といった気持ちだったでしょう。びっくりさせてしまって本当に申し訳なかった…
不幸中の幸いで、人生初めてのハチ刺されだったので、重篤な症状に陥ることはなく。
じんじんと痛むお尻をなだめすかしながら、ほうぼうのていで残りの崖を降ります。
もうここまでくるとやけくそ的な勢いです。
水にダイブで蜂毒を冷やす帰路
行きは滝壺を迂回するようにぐるりと巻道を使いましたが、もう濡れることは怖くないし、なによりハチ刺されの尻を早く冷やしたくて、
最後は筆薮の滝の広い天然プールにダイブ!!!!!

ざぶざぶと泳いで岸へとたどり着き、無事にもとの場所まで戻ってきたのでした。
ハチにやられた尻はじんじんと痛むものの、どうせここから急いで車に戻って病院へ向かっても2時間以上はかかってしまう。
だったら、この目の前の美しく冷えた滝壺で、尻と体の疲れを癒すのが先でしょう!!

ってことで、昼過ぎを迎えてますます鮮やかな美しい色になった筆薮の滝で、まったりと水遊びです。
見てください、水中の美しさ。
見渡す限り一面に広がる平らな水底に、アクアブルーの光のゆらめきがまるでラムネみたい。
世界中の高級ホテルのリゾートプールが束になっても敵わないような、自然がつくりだした美しい天然プールがそこにはありました。
尻の痛みも忘れ、思い切り楽しんで、帰路につきました。
最後に:尻は痛めど、心晴れやかなり
ちなみに尻はその後数日経った今もまだ赤く腫れてかゆいです。
みなさまもどうかお気をつけください。
YouTubeにも詳細なレポート動画をUP しています。
水音と美しい水の風景にあふれた動画になっているので、暑すぎる毎日、ぜひ再生して涼んでください。