こんにちは、たまゆりです。
今回は、奈良県吉野郡下北山村にある釈迦ヶ岳に登ります。
登山口までは、大阪から車で3時間、名古屋からは4時間。
標高は1800mあり、前鬼口という登山口からは往復9時間もの道のりを歩きます。
幾重にも重なった紀伊山地の深い山々。
その奥地に位置している、聖なる山なんです。
今日も、全身全霊で自然を楽しんでいきましょう!
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この動画は、YouTube「たまゆり自然部」にUPした動画をブログ記事に起こしたものです。
動画も合わせてご覧いただくと、より道の様子や臨場感が伝わりますのでぜひご覧ください!
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おはようございます!
釈迦ヶ岳の登山口、前鬼口というところに来ています。
駐車場に車を停めて、ここから20分か30分ぐらいこの林道を歩いて「小仲坊」という宿坊がある所に行きます。
その宿坊から登山道が始まっています。
今日歩く道は、吉野と熊野の2つの聖地を結ぶ大峯奥駈道という熊野古道のひとつ。
この辺り一帯は修験道の行場になっている場所で、さっきも駐車場で修験者の格好をした修行をされている方と出会いました。
その方は、さらに難しい裏の行場を巡られるそうです。
「お互い気をつけましょう」って言って、さっき別れたんですけど。
私はこれから先、釈迦ヶ岳の頂上を目指して歩いていきたいと思います!
かなり急な斜面の上りだったりとか、急な階段だったりとか。
少々危険な箇所もあるみたいなので、気をつけて、無事に下りてこられるように進みたいと思います。
行ってきます!
日本遺産、前鬼山集落跡。
役行者が大峯山を開いたとき、その弟子の夫婦が修験道の行場守護の命を受け、この地、前鬼に住み着いた。
以降、連綿としてこの修験道の聖地を守護してきたが、時代の変遷(へんせん)と共に明治の末期から次々と姿を消し、今はわずかに小仲坊だけが残って、1300余年の法灯を守っている。
…とのこと。
つまり、かつてはもっとたくさんあったこの行者小屋が、今では1軒だけになってしまった。
それでも小仲坊は、1300年の歴史を守り継いでいる…っていう事なんですね。
この小仲坊は現在も土日祝日に限って営業されており、修行者や登山者に 宿と食事の提供を行っています。
釈迦ヶ岳への登山道は、宿坊の横から伸びていて、立派な石畳が かつての集落の賑わいを伺わせます。
すごい橋がありました。ちょっと朽ちかけていて軋んで怖い。
苔もフカフカです。
出発してちょうど1時間くらい経ちました。
周りに全然人の気配もさがなくて、めちゃめちゃ静かで、ちょっと恐いくらいですね。
すごく神秘的で静かな世界が広がってます。
そして、ここから853段の階段が始まります。すごい。
けっこう高度感もあります。
100段目って意味かな?
200段~!
この釈迦ヶ岳は、ずっと来てみたかった所だったんです。
私の尊敬する師匠が大峯奥駈道を通しで歩いたことがあって。マムシに噛まれるわ滑落しかけるわで、それはもう大変な所だったと。その話が私は大好きで、何回もせがんで話してもらっていたものです。
そんな彼が、この釈迦ヶ岳で撮った写真を、ずっとSNSのアイコンにしてたんです。
それで、私も青空に映えるお釈迦様の画像をずっと見てたから。
1回、自分の目で見てみたいなって思っていたんです。
急な階段ですぐ息が上がってしまい何度も立ち止まります。体力が足りないことを痛感。
このペースなら登頂はできると思うけど、危険なようなら引き返す覚悟で来ました。
単独行は、なにかあっても自分1人で対処しなきゃいけないので、いろいろ余裕をもたせて行動しましょう…。
って、自分に言い聞かせてます(笑)
ヘイ!400段! 半分以上来たぜ。(853段あるので半分以上じゃない笑)
こうやって標識をつけてくださってるのは、ありがたいですね。
で、さらにこの階段がありがたすぎる!
これがなかったら登るの大変です。
「登山道」と書かれたわかりやすい看板も付いております。
整備なさっている方々、ありがとうございます。
秋を感じる赤い葉っぱに癒される。
そうこうしていると、二つ岩というポイントに到着。
すごい!岩が2つに裂けています。
ここも、修験道の行場のひとつ。
大峯奥駈道には靡(なびき)と呼ばれる行場が全部で75箇所点在しています。
修験者たちは危険な道を歩いて靡を巡り、お経を唱え祈りを捧げ、精神と肉体の鍛錬を行なっています。
私も手を合わせよう。
標高が上がってきたからか、ちょっと涼しくなってきました。
爽やかなでスンッとした高原の空気を感じる気がします。
樹液の香りかな?腐葉土の香りかな?
甘い香りもしますね。
小さく水が流れるせせらぎも見つけた。触ってみると、わ、冷たい。気持ちいい。
元気が出ますね。
このあたりから難所が目立ちはじめます。
“マジか”って感じの鎖場の道。
岩の壁が切れ立ってる。急な斜面を横にを突っ切るみたいに渡ります
怖いのでカメラを止めて集中してなんとか進む。
ああ怖かった。
難所を超えた先は景色がとても綺麗!
紀伊半島の深い山々が連なってます。
おぉ!500段~!
あと353段。いけそうな気がしてきました。
途中、高い岩山が見えてきた。
あれは… 大日岳かな?
相変わらず、コケがふわっふわです。
少し触れて気持ちのいい感触とその美しさでパワーチャージ。
きました700段!ほんとにあと一息だ。
あやしいキノコがこんにちは。
「食べたら死にそうでこわい」と思ったけど、映像をGoogleレンズにかざしたら椎茸でした。
あとちょっとだ 800段~!
森の中はめちゃめちゃ虫がいっぱいいます。立ち止まって休んでいると体にたかってくるので、落ち着いて休めないのが辛いところ。
もうちょっとで稜線に出そう?こんもりした笹が茂る美しい道。
ただ、この笹の草原が実は曲者。
眺めだけならとても美しいのですが、足元が見えにくいので、石ころやガレている地面が視認しづらく、滑って小さく転倒したり、道を見失いやすかったりと、実際はかなり苦戦しました。
樹林帯を越えて、少しずつ道が開けてきます。
稜線に上がると、大きい看板を見つけました。
「これより大峯 南奥駈道」とな。
ここまで、前鬼口から2.5キロ。
さらに、釈迦ヶ岳までは2.0キロ!?
ちょっと待って!まだ半分ちょいしか来てないってこと?嘘でしょ?
軽く気が遠くなりましたが、もうここまで来たら、この先は気持ち良い道歩きになるんじゃないかと期待しながら進みます。
(残念ながら、笹藪のおかげで全然気を抜けない道のりでした…)
景色が綺麗すぎる。
釈迦ヶ岳目指して、引き続きまいりましょう!
ここは、大日岳の行場。この先はかなり険しいみたい。
看板にはこう記されています。
「この先 修験道の行場です。
岩場・鎖場、道中は大変危険です!
修行以外の方はお入りになることをお勧めしません。
修行される方は、一切自己責任にてご修行下さい。 大峯行者 」
さっき下から見えてた岩山は、やっぱり大日岳だったんですね。
直角になった崖のような岩場に鎖がぶら下がっていて、下から眺めているだけで、ドキドキしてきます。
それにしても、なんて静かな世界なんでしょう
何も音がしません。
自分の足音しか聞こえない。
あのてっぺんが釈迦ヶ岳でしょうか。まだめちゃめちゃ高いところにある…。
がんばって行きますか!
稜線の笹薮を漕いだ先にようやく現れる釈迦ヶ岳。
その手前には深仙ノ宿と呼ばれる場所があります。
行者堂と呼ばれるお堂と無人の避難小屋、貴重な水場もある、オアシスのような所です。
山頂まではあともうちょっと。
ここから1時間です。
行ってきます!
釈迦ヶ岳の山頂を目を凝らして見てみると…見えました。お釈迦様!
ちっちゃく後光のような輪っかがあるのが見えます。
きつすぎて心が折れそうになりますが、山頂まではもうあと一踏ん張り。
体力も脚力も限界が近いけど、最後の力を振り絞ります。
ジリジリ照り付ける日差しに背中を焼かれ、
笹藪で転んだすり傷で手の平がヒリヒリ痛む。
3歩進むだけで激しく上がる息を整えながら、
それでも振り向いた景色の幽玄さに背中を押され、
なんとか1歩1歩 前へ進む…。
そして…………
着いた?
着いた!
釈迦ヶ岳頂上!
お釈迦様の像が立っています。
すごい。
疲れました。
でも、あぁなんて嬉しいんだろう
たどり着けました、自分の足で。
標高1800mの山頂にそびえる釈迦如来像。
大正13年に、鬼マサと呼ばれた剛力の修験者が、一人でここまで担ぎ上げたと伝わっています。
一つのパーツだけでも100kg以上あるというこの像を、いったいどうやって?
お釈迦様の周囲にはすっごい景色が広がっており、紀伊山地が360度一望できます。
目線と同じ高さに浮かぶ白い雲と、宇宙が透けて見えそうな青空を背に立つ、仏様。
その足元には、修験者の方たちが捧げた経木が数多く置かれています。
ずっと見てみたかった景色。夢が1つ叶って嬉しいです。
ここで、お釈迦様の背中側のスペースを借りて、しばし昼食タイム。
下山の時間が迫るのでゆっくりはできないけど、喜びを噛み締めつつ、しばし安らぎのひとときを過ごします。
時刻は13時。登りに5時間半ということは、そろそろ下り始めないと日が暮れてしまう。
お釈迦様と別れるの、ちょっと寂しいなぁ。
微笑むその顔は、優しい表情な気もするし、ちょっと厳しい顔つきな気もする。両方を併せ持っている。
まるでこの山そのもののように。
ここまで来させてもらって、本当にありがとうございました。
帰り道に再び深仙の宿に立ち寄り。
この先に水が湧いている場所があるそうです。
「香精水」と呼ばれる貴重な水場で、お水をありがたくいただきました。
夏場は特に涸れていることもあるそうなので、注意です。
下りの道のきついこときついこと。
漕いでも漕いでも進まない、足元が見えない迷いの笹藪。
眼下の奈落が見えて、行きよりいっそう恐ろしい岩場と鎖場。
唯一安心感がハンパない、だからこそ滑りや朽ちに気が抜けない853段の階段。
日が傾くとともに暗さを増し、道を見失わないか不安になるトチノキの樹林帯。
なんとか、無事に前鬼まで戻ってきました。
最後には膝が棒のようにガクガクになりながら…。
生きていることのありがたみを、シンプルかつダイレクトに感じる瞬間です。
前鬼口のお堂に、最後に無事に帰って来られたお礼をお伝えして帰ります。
本当にありがとうございました。
ちなみに、足が棒のようになった状態での駐車場までの30分の林道歩きが、一番きつかった(笑)
ということで。
無事に、釈迦ヶ岳に登頂できましたー!
次の日から筋肉痛で、足が全然上がらなくて、ふくらはぎもパンパンに腫れてロングブーツのファスナーが上がらなかった(笑)
本当に本当にキツかったです。
6日も7日もかけて大峯奥駈道を歩く方は、一体どんな孤独や、極限の肉体精神状態の中で戦ってるんだろうと、想像させられました。
本当に凄い。
私は、その中の1つの山のてっぺんまで登っただけなんですが…それでも、
道の厳しさ、そしてそこに隠れている優しさみたいなものを感じられた気がしました。
そして、もっと強くなりたいって、思いました。
こんな素晴らしい場所に来させてもらえて、そのことにはやっぱり意味があるような気がして。
その恩返しっていうのかな。
私も、もっと強く成長した人間になって、自分のできること
YouTubeで映像を発信することだったり、言葉を通じて、誰かの幸せとか、もっと自由に生きられるような世界を作る。
その1つのピースになれたら本当に嬉しいって、おこがましくも思ったりしました。
厳しい自然の中で活動すると、自分のちっぽけさを思い知ると同時に、すごく謙虚な気持ちになれる気がします。
どうしても日常を生きていると、普段ある周りの環境が当たり前だと思っちゃってる。
いろんな人に助けられ「生かされて生きている」っていうことをつい忘れちゃう。
だからこそ、こうして山を歩くことを通じて、改めて、シンプルでクリーンな自分に立ち返れる気がしています。
最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
ぜひ動画でもご覧ください。
チャンネル登録いただけたら本当にうれしいです。
ではまた、次回お会いしましょう!
はじめまして、私の故郷です。お帰りには、明神池でも訪れてください。お気をつけて。