リアルタイム巡礼記2016

【巡礼記11~12日目】私が彼を好きな理由。孤独を抱きしめて歩く人になりたい

みなさんこんばんは、たまゆりです!
現在スペインは21:30。
今日はオカという山を越えてしばらく歩いた、カルテニュエラ・リオピコというなんだかむずかしい名前の街にいます。

おととい位から歩く道が一緒になっているオランダ人のおじちゃんマリウスがおすすめのアルベルゲを教えてくれたのですが、本当にとてもいいところ!
土曜日だからというのもあるのか、バルも兼ねた店内は地元の子供から大人、老若男女でいっぱい!コロンビア出身だという女主人さんもとてもすてきな人。

というわけで、そんなバルの片隅で書いた日記、2日分どうぞ!

 

5/20
ヴィロリア〜ヒリャフランカ・モンテス・デ・オカ
歩行距離 24.6km

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今日も本当に暑い1日だった。
麦畑の中にずっと続く、真っ白に乾いた道。
風はなく、雲はなく、日陰もない。

 

数キロ歩くごとに見える小さな街は、ゆらゆらして、蜃気楼みたいに見える。

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街に入るたび日陰のある場所を探しては、首筋に泉や小川の冷たい水を浴びせて涼んで、少しずつ前に進んでいった。

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今日のように雲ひとつない暑い日は、歩きながらなにも考えられない。視界もまぶしすぎて、ぼんやりしている。遠くの景色も日差しが強すぎてのっぺりとして、まるではりぼてみたいだ。

次から次へと、小さな考えが泡のように浮かんでは、太陽の光に灼かれて溶けて消えていく。
だから、今日は歩きながらなにを考えていたのだかあんまり覚えてない!笑
ただ、必死に暑さに耐えながら、少しずつ前へ、前へと進んでいった気がする。
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途中、教会のある広場の芝生に木陰を見つけて涼んでいたら、昨日の小さなアルベルゲで一緒だったオーストリア人の若い男性に会った(名前聞き忘れた)。彼はすごくチャーミング。一緒に来ている可愛くて聡明な雰囲気の彼女に逆らえない感じで、憎めなくて可愛らしい!二人は昨日アルベルゲに置いてあったチェスで遊んでいたのだけれど、彼は彼女に思い切り負けてた。笑

で、私の足の小さなマメを見た彼が、これほんとにいいから!!試して!!と私にマメ用のシートを分けてくれたのだけど、これが彼の言う通りほんとにすごいの!薬局でよく見かけるんだけど、マメがそんなにひどいわけじゃないから使ったことなかった。でもこれ本当にいい!
貼ると肌にピターッとくっついて、まるで皮膚そのものみたいになる。で、靴の中で汗をかいてもシャワーを浴びても簡単に剥がれたりしないから、数日そのまんまでいいみたい。うわー、これ、私もブルゴスあたりで買ってみようかな?
確かお値段はそこそこするのですが、ちゃんとそれ相応の働きをするようです。教えてくれてありがとう!ってここでいっても仕方ないけど!笑

 

そして、そんなこんなしながらなんとかたどり着いたのが、ビリャフランカモンテスデオカ、という小さな街。
この街を最後に、巡礼道は12kmもの間街もお店もなにもない、オカの山越えへと入っていく。それを超えたら、ブルゴスという久しぶりの大きな街はもう目前!

ということで、今日は明日の山越えに備えて、昨日同じく小さなヴィロリアの街で一緒だったオランダ人のマリウスやオーストラリア人のノエル、デニスとアルベルゲで夕食を共にした。

街にたったひとつのスーパーマーケットで野菜をたくさん買い込んでサラダを作って食べたよ!

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だんだんこちらの太陽の時間にも慣れてきたみたいです。日本だったらまだ昼間みたいな明るい時間にベッドに入るんだもの。日本に帰ったら、しばらく時差ぼけに苦しみそうだなあ!

というわけで、今これを書いているのは夜20:30。
まだまだ昼間のように明るいですが、明日の山越えに備えてもう寝ることにします。

おやすみ!!

5/21
ビリャフランカ・モンテス・デ・オカ〜カルテニュエラ・リオピコ
歩行距離 27.6km

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今朝は少し早めの6時半に起きて、7時にアルベルゲを出発。
とてもすがすがしい朝焼けの中、山道を登っていった。

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オカの山越えは、思っていたほどきつくはなくて、ゆるやかな登りやほぼ平坦な道、たまにある登り坂もずんずん進む。

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今日はほとんど森の中を歩いていた。最近見渡す限りの麦畑やぶどう畑の景色ばかりだったから新鮮に映る。
途中、森が開けて野原になってぱあっと視界が開けた場所があって、地面には黄色、白、紫の野の花が咲き乱れてほんとうにすてきな場所だった。

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太い木の幹が2本並んだ間にザックを置いて、もたれかかってしばしお昼寝。本当に気持ちがいい。天国に来たかと思うくらいの、麦畑のじゅうたんにオレンジ色の街が点々と散る眺め。そしてやわらかい陽射しと木陰に吹き渡る風の涼しさ。足元で揺れるかわいらしい花。周りにはだーれもいない!そんな場所を独り占め。

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こういうとき、なんとなく「うさぎとかめ」の童話を思い出す。うさぎになるのでもかめになるのでもなく、ただ誰とも競争しないで歩くこと。
最初の方には意識しないとできなかったことが、最近は自然にできるようになってきたみたい。
こうやって色んなことが身についていく。

 

歩きながら「引き合う孤独の力」について考える。たしか谷川俊太郎さんの詩で読んだフレーズだったように思うけれど。

引き合う孤独の力。
わたしは瞳の奥に孤独を秘めた人が好きだ。好きな男性のタイプは、と聞かれたらこれからはこう答えるかも知れない(笑)

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ほんとうは人は誰でも、どこまでも孤独だ。ずーっと永遠に他の誰かやその他大勢と一緒に、同じ道を歩くことなんてできない。
自分は自分の人生を生きている、という実感を得たいのなら、ひとりで歩いてかなきゃいけない。誰もいない道を進まなきゃいけない。
その孤独は、ほんとうは埋めようのないどうしようもないものなのに、それをどうにかごまかそうと、他人やモノや娯楽にばかり埋め合わせを求めてしまう、私たちは。

 

その孤独から目を逸らさないで、その孤独を魂の芯に抱きしめて歩いている人が、わたしは本当に好きだ、と思う。そういう人に近づきたいと思う。瞳を見るとなんとなくわかる気がする。孤独を覚悟し愛している人にだけ宿る深い輝き。

ああ、このことについて私はまだちゃんとした答えを持っていない。考えが足りない。近頃歩きながら、ずっとこのことを考えている気がする。

なぜ私が彼に惹かれたのか、そして今まで惹かれてきた人たちに共通していたのはなんだったか。考えて出た答えはそれだった。
私が彼に惹かれたのは、その瞳の芯に宿る静かな水面みたいな孤独が好きだったから。それでいて、世界すべてに優しく木漏れ日のような愛を注いで生きている彼は本当に魅力的で、心の底から美しいなと思う。まぶしいくらい。
あんな風に生きていくのにどれだけの覚悟がいるのかわからない。でもわたしはそんな人になりたい。

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彼自身もまた、孤独なものを愛していたって思う。きっとそれは無意識にかもしれないけれど。
見渡す限りの広い緑の麦畑にぽつん、と咲いたポピーの赤い一輪を見つけて足を止めたり、荒野にたった1本佇んでいた木を遠い瞳で見つめていたり。
それからきっと、誰かにうち捨てられてしまったゴミを拾ったり、親からはぐれたネズミの仔や雛鳥を草むらへ帰してあげたりしていたのも。
彼がわたしを好きになってくれたわけは、きっとそれらに似たなにかを、どこかで感じてくれていたのかも知れない。(そう思いたい)

麦畑の海に咲く一輪のようなしたたかな孤独感を、もしも私の姿から彼が見つけてくれていたのだとしたら、すごく嬉しい。

人生を濃縮したみたいなこの道を歩き終えても、私は私の人生をそんな風に生きていきたいな、と思った。まだぼんやりとだけれど。

さて!
それではそろそろベッドへゆきます。
日記を書くのでいっぱいいっぱいで、コメントやツイッターでのDMなど、なかなかお返しできなくてすみません。とってもとってもうれしく拝読しています。

今日頑張ったので、明日は15kmほど歩いたら、久しぶりの大きな町ブルゴスに到着です!
ゆっくりコメントなどお返しできる時間があると良いのだけど。

それではおやすみなさい。たまゆりでした!

 

 

つづきはこちら!

 

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