リアルタイム巡礼記2016

【巡礼記7~8日目】トゲトゲだった思い出は、丸い宝物の石になった

こんにちは、たまゆりです!
現在スペインは16:00。
今日はのんびり短い距離を歩いて早めにアルベルゲに入ったので、昨日書けなかった分もまとめて日記を書いています!

恋愛沙汰の話になって以来、ものすごい個人的な感情のことばっかりこのブログに書いていて(しかもすごくポエティック!)少々お恥ずかしいのですが、これも今のありのまんまの私が書いたものと思って、残しておくことにします。うへっ!!

 

5/16
ロスアルコス〜ログローニョ
歩行距離 33.5km

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恋の痛みを引きずりまくっている。
夜中に目覚めたら、昨日ロスアルコスで別れて一つ先の街にいる彼からメールが届いていて、ログローニョに向かう道の途中、石の上に私へのメッセージを書いておいたよ、と。もしこのメールが届いているなら見つけてね、と。

彼は1週間だけ、彼のお父さんと一緒にロンセスバジェスからログローニョの道のりを歩きに来ていて、私はその途中で彼に出会った。バルセロナの近くに住んでいる彼は、仕事があるので明日にはログローニョから電車に乗って家へ帰ってしまう予定だった。

だから、今日1日で、私が30kmの道のりを頑張って歩いたら、なんとか彼が発つまでに追いつけると思った。昨日は、自分のペースを守らなきゃ、って、敢えて離れた場所にとどまったけれど。
やっぱりまだ会いたくて仕方なかった。一目で良いから会いたかった。やっぱり。

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だから、朝は素早く準備をしてロスアルコスの街を出て、とにかく会いたい気持ちで一心不乱に歩いた。
今日は曇り空。道はアップダウンが激しい。

歩いている途中で、彼が残してくれたメッセージを見た。それは、なぜか石の上にボールペンで「YURIKO」って書いてあるだけで、なんだよ!なんなんだよ!と。笑
その続きが聞きたいんだよ私は!!要件をお言いなさいよ!!と思い、なおさらホンモノに会わなければこれは、と歩を進めた。笑

そして途中の街の、噴水広場の前で彼に再び会った。
本当嬉しくて、でも何か言おうとするだけで泣きそうで、うまく伝えられなかった。元気?疲れていない?また会えてうれしいよ、と言うので精一杯だった。ああ、思い返せばうまく伝えられなかったことばかりだ。たくさんあるのに。思ってることはたくさんあるのに、私のへたくそすぎる英語じゃぜんぜんうまく話せない。もどかしくてくやしい。それに、それ以上に、何か言おうとすると泣いてしまう。

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それからは、他愛ないことを話しながら、冗談言ってふざけながら、二人で歩いて行った。一緒にいてくれるだけでどこまでも歩いていけそうな気持ちになる。

彼は彼のお父さんと一緒に、明日の朝ログローニョの街を発つそうだ。
夜は、3人でログローニョのバルが立ち並ぶ通りに出かけて、おいしいピンチョスをつまんでこの土地の名産であるおいしいリオハワインをたくさん飲んだ。
彼のお父さんはスペイン語しかわからないので、わたしのカタコトすぎるスペイン語と、ほぼジェスチャーの会話。そんな私でもわかる。お父さんは本当にすてきなひとだ。深い瞳と強い眼差しでいつも真実を見据えている。

 

二人に会えるのは、今日で本当に最後。
だけど不思議と胸の痛みは昨日より少なくて、ただただこの人たちに出会えて幸せだなぁと思った夜だった。

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思い出すのは、眩しい太陽と、手を繋いでどこまでも歩いて行った、地平線まで続く麦畑。寝転んでじゃれた涼しい松の木陰。道端に咲いた真っ赤な芥子の花。丘の上に吹かれて立つ風車の群れ。初めて会った菜の花畑の真ん中。あまりによくできすぎているので、トゥーロマンチックだ、ライクアフェアリーテイルだ、と言ってふざけて笑ったことも思い出す。

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いろんな場面を思い出す。たった3日の出来事だとはとても思えないくらい。
いつもお父さんを気にかけているところ。自分のことはいつだってさしおいて、とても大切にしているところ。心ない誰かが巡礼道に捨てていったゴミを、歩きながら拾い集めてきちんとゴミ箱に捨てているところ。親鳥とはぐれて道の真ん中に取り残された小鳥の雛を、自然な動作で木へ戻してあげるところ。たくさん歩いた後なのに私たちに手作りのごはんを振舞ってくれて、疲れていないの?と聞くと、誰かのために食事を作ることは仕事じゃなくて喜びだから、と答えたところ。アルベルゲの人やバルの人、誰が相手でも、ありがとう、の一言を必ず忘れないところ。
なんだろう、私はもしかして神様の遣いにでも会ったのかな?と思うくらいだ!

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本当にこの人たちに出会えてうれしい、と思う。
思い出すと恋しくて寂しくてたまらなくなるから、なかなか触れられないトゲトゲの形だった記憶は、今日1日かけて、大切に触れて思い出せるまるい宝物の石へ変わったみたいだった。
穏やかな気持ちで、ぐっすりと眠りについた。

5/17
ログローニョ〜ナバレテ
歩行距離 15.1km

二人がここを発つ準備をする音を聞きながら半分起きて、半分眠っていた。それから朝8時、彼らを部屋のドアから見送った。
別れ際にボロボロ泣いたりはもうしなかった。ユリコよ、もう泣かないんだぞ、とお父さん。私の前に十字を切って小さくお祈りをくれた。
それぞれにきつくきつくハグをして、笑顔で見送る。通りが見えるベランダから、曲がり角で姿が見えなくなるまで手を振った。

彼らが部屋からいなくなった後も、もう泣かなかった。服を着替えて靴紐をきっちり結ぶ。
朝9時。今日はゆっくり歩くと決めて、12km先にある一番近くの街を目指す。

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ログローニョから歩く今日のコースは、池の周りに広がる公園の遊歩道になっていて、並木道の側でたくさんの地元人が朝の散歩やランニングをしている。釣りをしているおじいちゃん、犬の散歩のおじちゃん、ウォーキング姿のお姉さん…すれ違いざまにブエンカミーノ!と色んな人が笑顔で声を掛けてくれて、元気がわく。緑が多くて、鳥のさえずりが絶え間なくて、とても気持ちがいい公園です。地元の人に愛されているのが伝わってくる。

広い池を見渡せるすてきなバルでトルティージャとスモデナランハ(生絞りオレンジジュース)を頂いて、再び歩き出す。
バルに入るのも、最初はなんだか緊張していましたが、だんだん慣れてきました。

公園を出た後、高速道路の脇をしばらく歩くと、ナバレテの街が見えてきた。
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巡礼道上の小さい街は、教会をてっぺんにした島のような形で麦畑やぶどう畑の海に浮かんでいる。街から街へ、一面の緑の中を進んでいくのは、とても気持ちいいです。

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ゴールのサンティアゴデコンポステーラまではあと576km!!

あと4km歩いて、このもう一つ先の街まで行こうか迷ったけれど、日陰の少ない道を歩くのはあまりに暑くて、まあいいかー!とこのナバレテの街にとどまることに。

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ナバレテの公営アルベルゲの受付は13:30から。到着したのは13:00で、まだ時間があったので、受付が開くまで隣のバルでお昼ご飯。

ツナと赤パプリカのボカティージョに、ビール!
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そういえば、スペインにいて不思議なのが、あんまり日本食が恋しくならないというところ。
兄とのアンダルシア旅行も合わせたら、もうかれこれ3週間はスペインにいることになりますが、一度も日本食への禁断症状に襲われていない!笑

アメリカやイタリアを旅行した時は、10日間程度でも途中でたまらなくなって寿司バーや中華料理店に駆け込んだものですが…。

兄とも話していたのですが、スペインの料理は味付けがとてもシンプルだから、全然飽きがこないのかも。
ボカティージョを食べるのも、1週間もしたら飽きてしまうだろうと思いきや、毎日バンバン食べてもまだまだ食べたいもん!!笑

というわけで、今後もボカティージョにはお世話になりまくりそうであります。

 

そして、アルベルゲの受付を済ませて、シャワーも洗濯も終わらせて、今ベッドの上でゆっくりこの日記を書いております。
なんだか久しぶりにのんびりした感じだ!!たまにはこういうのもいいよね。

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アルベルゲのキッチンからの眺め。

Amazonで電子書籍版「星の巡礼」を買ったので、夕飯まで読書の時間にしようかな。

明日は少し早起きして、暑くならないうちに歩き始めようかなぁと思っています。最近ゆっくり寝坊ばっかりだったから、たまには朝の清々しい空気の中で歩くのもいいよね。

さあ、明日からも何が待っているか楽しみだなぁ!
笑顔で、のんびり歩いて行こう。

 

それではまた!たまゆりでした〜〜!

 

つづきはこちら!

【巡礼記9~10日目】赤い大地で灼熱に焼かれ、緑の麦畑で風に抱かれるみなさんこんにちは、たまゆりです! 現在スペインは夜の18時。 今日はヴィロリアという、麦畑の真ん中にぽつんと島のように浮か...

 

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