リアルタイム巡礼記2016

【巡礼記14日目】周りがみんな敵に思える日、オレンジの天使に出会う。

こんばんは、たまゆりです!
現在スペインは21:00。それでは今日の日記をどうぞ!

 

5/23
ブルゴス〜オルニジョス・デ・カミーノ
歩行距離 24.1km

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今日は朝からぜんぜん調子がでなかった。
大きいアルベルゲの広いフロアで、周りがごそごそ準備する音を聞きながら眠っていて、気がつくと7:15。
最近は、だいたい同じくらいの時間に自然に目覚めるので目覚ましをかけないで寝ていることが多い。

のそのそしながら準備を終える頃には、もう私のいたフロアには誰一人いなくなってた。

昨日見た巡礼者のメッセージノートに、以前に来た日本の方が残していったものが書かれていて「ブルゴスのこのアルベルゲは大きいのに15時半には満員。明日の宿が心配だ」とあった。
100近いベッド数があるこのブルゴスのアルベルゲは、昨日の夕方には満員だった。そして今日目指す村は小さく、アルベルゲのベッド数も少ない。それがずっと頭の隅にひっかかってしまっていて、気持ちが焦っていたのかも。

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私の書いたやつ。

 

自分のペースで歩こう、この道を楽しもう。
意識しても、すぐに気持ちがあせりだす。早く行かなきゃベッドがなくなっちゃうかも。急がなきゃ。この人たちより先に着かなきゃ、って、気がつくと頭の芯が唱えている。

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そんな気持ちで歩いていると、なんだかだんだん周りの人が敵みたいに思えてきちゃう。そうじゃないのに。知らない言葉を使って大声で笑いながら歩く若い男の子の2人組。うるさいなぁ、もうちょっと静かに歩いてよ、って考えてしまう。ああ、自分が楽しい気分の時なら、何話してるんだろ、楽しそうだな、すてきだな、そしてすれ違いざまに明るく挨拶できるのに。
すれ違う人と笑顔を交わすのも億劫なほど、今日の私はむっつり顔で下向いて歩いてた。

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でもね、そうして歩いていた私は、今日色んな人に助けられた。

途中で入った小さなバルの、とっても優しい笑顔の素敵な女のご主人。店は少し混んでいて、忙しそうなのにずっと笑顔で、お店を出る時にはブエンカミーノ!と手を振って声をかけてくれた。隣の席に座ってたアイルランドのおじちゃんは、彼女のことを「天使」と呼んでた。わかる。笑

そう、今日はいろんな天使に会ったのだ!
私が落ち込んでいる時、調子がでない時、むっつりしている時、どこからか現れて私に笑顔を取り戻させてくれる天使のような存在。それは人だったり景色だったり花だったりするのだけど、こりゃもしかして神様が用意してくれているんかね?ものすごいや。

 

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今日の後半は、日陰も座る場所もない、延々と続く緩い登りの麦畑の道。目指す街はもうかなり近くて、周りにたくさん歩いている巡礼者に遅れないように、少しでも早く着くように、って下向いて黙々と歩いていた。

ふと顔を上げると、道端に年配のおじちゃんが座ってのんびり休んでいた。すれ違いざまにオラ!と声をかけると「やあ、こんにちは。食べるかい?」と、私に向かってまんまるいオレンジを差し出してくれる。

私はそのとき、街まであともう少しだ!早く着いてベッドを確保しなくちゃ!って急いでいたから、一瞬迷った。
でも、そのオレンジを差し出してくれる笑顔がとっても素敵で和やかだったから、ザックを置いて、おじちゃんの隣で草の上に腰を降ろすことにした。

ナイフを持っていないから、手で皮を剥いて丸ごとかじりつく。手をベタベタにしながら、地面に果汁を滴らせながら、青空の下麦畑の真ん中で食べたオレンジは本当に甘くておいしかった!

甘いオレンジにかぶりつきながら、お互いのことを話した。声をかけてくれたのはブラジル人のユートン。奥さんを亡くしたことがきっかけで、この巡礼に来たのだそうだ。腰が悪いから、普通の人の1.5倍くらいの時間をかけて、毎日ゆっくりゆっくり歩いて私と同じサンティアゴデコンポステーラを目指している。

途中、もう一人通りかかったニュージーランドの女性メリッサも、同じようにユートンにオレンジを差し出され、観念して(笑)草の上に座った。彼女はめちゃくちゃでかいカバンを、重そうな身体で背負って、顔を真っ赤にしながらゆっくりゆっくり歩いている。

 

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私はいつの間にか急いでいたことも忘れ、ユートンの、世界全部に愛を注いでいるような笑顔や、オレンジに染まった素朴であったかい指先を見ながら、しばしのんびり3人でオレンジをかじり、メリッサのくれたクラッカーを食べていた。

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3人で再び立ち上がって歩き出す頃には、すっかり色んな人に追い越されていたけど、それから私は笑顔で前を向いて、街へと続く坂を下っていった。
オレンジおいしかったなぁ。ユートン、本当にありがとう。

 

そして街に着いたら、やっぱり公営のアルベルゲはもう満員。少し戻ったところにある私営のモダンなアルベルゲにベッドを見つけ、そこに泊まることにしました。

キッチンでパスタを茹でて食べ、しばらくベッドでのんびりしていると、なんと数日前にヴィロリアという小さな町で晩ご飯を一緒に食べ、マメに貼るシートを分けてくれたオーストリアの男の子が!!

彼はなんとブルゴスでのんびりして、昼の12時頃に出てきたらしい。まじかい!朝8時に出て急いでいた私、今思うと面白い。笑
ベッドがないならないで、ないなりの素敵な出来事が待っているのだ、きっと。焦らずに自分のペースで進もう。

そういえば私、あの日隣にいた人を勝手に彼女だと勘違いしてたんですが、違ったみたい。彼も1人で来ているんだって(そしてまた名前聞き忘れた)。

 

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もう会えないだろうと思っていた人に、道の上でもう一度会えるのは本当にうれしい。
私がまだサンティアゴ巡礼道を歩き始めた頃、最初に出会った同輩のすてきな仲間たちと離れたくなくて、彼らに追いつこうと無理をして足を痛めて悔しくて泣いていたことを思い出す。

そう、会える人には会えるんだ。またどこかで。それは本当に素敵で嬉しいことだなって思う。一緒にずっと歩くわけじゃなくて、それぞれがそれぞれのやり方で歩いていって、その先でまた奇跡みたいに出会う。

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「人生を生きるあいだ、その時に必要な登場人物が現れては去っていく。そして今離れていったとしても、会うべき人とは、また何年後、何十年後にもう一度会えるようになっているのよ。」って、私の母が言っていたのを思い出す。そう、それに似てる。これも人生の練習だ。

この道で知り合った、たくさんの人たち。笑顔の素敵な、優しい愛すべき人たち。またどこかで会えるのを楽しみに、私は私の道を胸張って一生懸命歩いていこう。

そんなことを思った素敵な1日でした。
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さて!明日は少し遠くまで歩けたらいいなって思っています。
たくさん寝て元気がいっぱい出せますように。

それではおやすみなさい!たまゆりでしたー!!

 

つづきはこちら!

 

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POSTED COMMENT

  1. naturewalkabout より:

    今の季節は、麦畑は緑なのですね。私が歩いた夏とは全然違う景色です。
    アルベルゲはサンティアゴまでのこり100㎞をきると突然巡礼者の数が増えるので要注意です。さらにサンティアゴの公営アルベルゲは私の時は満員で泊まれませんでしたが、Booking.comで予約ができるので、近くまで着いたら早めに確保するのが良いと思います。

  2. tamayuri0123 より:

    naturewalkaboutさん
    お返事が大変遅くなりましたが、ブログをご覧くださり、アドバイスをいただきありがとうございました。
    本当におっしゃる通り、サリアのあたりから人がたくさん増えて賑やかでした!満員のアルベルゲにもたまに出会い、びっくりでした。

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