続いて今日の日記。
【day5 Coca-Alcazaren 28.6km】
今朝は、いつもより少し早起き。7時にベッドを出て、8時前にはアルベルゲを出発した。
予報を見ると昼過ぎから天気が崩れそうだったので、できればそれまでに目的の街へ着きたいと思って。
街を出てしばらく、森の中を歩いていると、背中の方から朝日が昇ってきた。
しばらく立ち止まって、朝焼けを眺めました。空気が澄んで清々しく、とてもとても気持ちがいい!
やっぱり早起きは三文の徳ですな〜、などと一人呟きながら、今日も変わらず?松林の中を歩く。
周りに何もない平原の道は風がとても強いので、松林の中にいると少し安心する。
7kmほど歩くとVilleguilloという小さな村があって、バルが開いていたので入って朝ごはんを食べることにした。
このバルのマスターが、無口で寡黙なのにすごい優しい人で。
頼んでないものまで、これも食べなさい!これも!とどんどん食べ物を出してくれて、お腹がいっぱいになりました。
お金を払って出発しようとしたら、これを持って行きなさいと(ゴミをまとめられるように)わざわざアルミホイルに包んでリンゴを2つと、紙パックのオレンジジュースを持たせてくれた。
今日は、この村を越えたら目的地までは何もない。
きっとそれをわかっていて、持たせてくれたのだろうなと思うと、なによりもその心遣いがとても嬉しかった。きっとこうして、日々たくさんの巡礼者たちに、優しい心を配ってくださっているのだろうな。
もらったりんごは小ぶりだけれどとても甘くてみずみずしくて、歩きながら頬張るととても元気が出た。
村を出てからは、おなじみになった松の森と、見渡す限りの平原を交互に歩いた。
しばらく行くと県境らしき標識があり、ここからバリャドリド県?に入るのかな。
その看板を越えるとカミーノの標識も変わり、心なしか、今までよりも道標が分かりにくくなったような気がしました。
今までが、絶対見失いようのない親切すぎるほど親切な矢印だったからか、少し戸惑う。
案の定、降り出した雨に気を取られて途中で道標を見失ってしまい、しばらくスマホのGPSを頼りに、松林の中の道無き道を歩きました。(写真は途中の道端で休憩の図)
ようやくその迷いの森を抜けると、今度は道が、ものすごく交通量の多い幹線道路脇にさしかかりました。
今までのマドリードの道は、土の道99%・舗装道1%くらいの割合だったから、これにも少し戸惑う。かろうじて通れる細い歩道のすぐ脇を、ものすごいスピードの大きなトラックがビュンビュン走り抜けていく。
道に迷った後で、雨にも降られて少し気分がナーバスになっていたからか、春に歩いた北の道のつらい舗装道路歩きを思い出して、つい気分が暗くなってしまいます。
そんな時、ちょうど計ったかと思うようなタイミングで「過去は笑い飛ばせ、先へ進め」って、日本から励ましのLINEが届いて。思わず涙が出てしまった。
そして、それを読みながら歩いていて、ふと目を上げると…
道の続く先に、またも、大きなアーチを描いて、虹がかかってた。
魔法でも使ったの?っていうタイミングだったから、ほんとうにびっくりした。
もう、そんな何回も虹出たら、ありがたみがなくなるじゃん!とか、独り言でつい憎まれ口を叩いてしまいつつ、でもなんだかものすごく嬉しかった。
ただ、雲がかかって、雨粒が降って、そこにたまたま太陽の光が当たって。
ただそれだけ、自然は私のことなんてまったく感知していないのかもしれない。でも…
伸びる道の先にかかった虹、前方に広がる青空、吹き付ける強い風、すぐそこに迫る雨雲。
「雨だろうが風だろうが嵐だろうが、あるいは青空や虹だろうが…道は前へ伸びている。それだけは変わらない。だったら歩け、前へ進め。」
そんな風に、自然から言ってもらった気がした。
虹と青空が見えたのはほんの一瞬のことで、幻のように消えたと思ったら、またすぐに空が暗くなって、雨が降り出した。
だけど、さっきまでとは違って、私の心には炎が灯ったように、あったかかった。
街までの残り数キロの道のりを、レインウェアのフードをかぶり直して、元気な足取りで歩いて行った。
そして、道に迷ってしまったから予定よりも距離は長くなってしまったけど…無事に目的だったアルカサレンの街へ来ることができました。
アルベルゲには、近くのバルで鍵をもらい入りました。
今日も、とてもよく手入れされた、あたたかい心遣いを感じる清潔な設備のアルベルゲです。
しばらくすると昨日一緒だったイーサンと、もう一人フランス人の男性もやってきました。
今まで一人が多かったから、 (たったの3人だけど)久しぶりにとてもにぎやか!
明日も、元気に歩きたいと思います。
それではまた、たまゆりでした。