みなさまこんにちは!たまゆりです。
スペインは夜の18時。
ただいま、サンタマリアラレアルデラヌエバ、という街のアルベルゲで、ヒーターの前でぬくぬくとあったまりながらこれを書いています。
マドリードの道、巡礼2日目です。
【Los Hueltos-Santa Maria La real de Nueva 22.3km 】
とっても居心地の良かった、気持ちのいいアルベルゲとロスウエルトスの街をあとにして、いよいよ出発です。
雨が降ったり止んだり、かと思えば晴れたり…というお天気は、この地域の?秋特有のもののようです。
今日も起きてすぐは晴れだった空、アルベルゲを出る頃には再び少し曇り空に。
ゆるやかにカーブを描く農道を少し歩くと、とてもすばらしい森が見えてきました。とても鮮やかな金色に染まっています。
道はどんどん森へ近づいていき、ついには森のすぐ隣をまっすぐに通る道になりました。
日本人の方のブログによると、ここはかつて鉄道の線路だったのだそう。木材かなにかを運んでいたのでしょうか?
地元の方のランニングコース、サイクリングコースにもなっているようで(みんないったいどこから来たんだ!?)、すれ違いざまにオラ!と挨拶を交わします。
可愛らしいベリーやきのこもそこかしこにあって、美しい秋を感じます。
雨が降ったり止んだりする中、森のすぐそばを歩いていたのですが…
そのうちに空がさあっと明るくなり、みずみずしい青空が見えました。
そしてよく目を凝らしてみると、木々の間に、小さな虹のかけらが覗いているではありませんか!
感激して見惚れているうちに、虹はみるみる伸びていき、ついには広い広い青空に、きれいな丸いアーチを描きました。
思わず涙が出ました。
なんて美しいんだろう!
こんなに美しい風景の中を歩けていることに、もう言葉にできない幸せで胸がいっぱいになりました。
雲が来て、雨が降り、風が吹き。
雲が去り、太陽が射し、虹が出る。
うまくいえないんだけど、ぜんぜん!
自然は、空は、大地を歩くちっぽけな人間のことなど、きっと気にも留めていなくて。
ただ、雲は流れ、太陽は隠れまた現れて、雨が降って。
その自然の営みの中に、ちっぽけだけれど自分がいて、その美しさを感じることができる。刻一刻と変わっていく空の模様を、こんなに美しいと感じることができる。
それがどうしようもなく幸せで、うまく言葉にできないその喜びは、きっと、生物として生まれてきたことの喜びなんだろうなって思った。
生かされているんだな、と思う。こんなに美しい自然の世界の中を。
ああ、ぜんぜんうまくいえない〜〜。
だけどきっとこの感覚は、この先も歩きながら、時間をかけて、味わって見つめていくことになるんじゃないかなって、気がします。
虹が青空に溶けて消えていくのを見送ってから、また歩き出しました。
まっさらな太陽の光と風を浴びながら、金色の森が太陽に透けるのを横目に見ながら、深呼吸をして歩きます。
しばらくいくと、今度は松林が現れました。
みるみるうちに空が暗くなり、再び降り出す雨。あわててカッパを着込んで歩いていたら、雨よけの小さな小屋が。巡礼者用に作ってくださったものなのでしょうか。
しばらくそこで雨宿りをしてからまた歩き出したら、また太陽が見えました。
雨に濡れた森に光が当たると、キラキラと光ってほんとうにきれいです。
このあたりの松からはどうやら樹液を採集しているらしく、すべての木の幹にバケツのようなものが結ばれていました。
それを抜けると…再び現れた、見渡す限りの平原。
ゆるい登りをひたすらに、一歩ずつ歩いていくと、歩いてきた金色の森が、遠く眼下に見えます。
少し離れた野原の上を、二頭の鹿が連れ立って歩いていきました。
周りには誰もいなくて、ただ風の音がするばかり。
こんなすばらしい風景をひとりじめしてもいいのだろうかと、もったいなくなってしまうほどです。
この道は、どこか、フランス人の道で歩いた「メセタ」の区間に似ている気がします。
平坦で退屈だ、とも言われるメセタの台地ですが、同時に、自分自身の心に集中できることから「瞑想の道」とも言われているそうです。
平坦な、見渡す限り何もない場所を、風の音だけを聞きながらただただ一歩一歩歩く。
最初は、肩が痛くなってきたなぁ、疲れたなぁ、と思っていたのが、いつの間にか歩くことそのものに夢中になって、ひたすらに足を動かしている。
何を考えるでもなく、ただただ歩く。
その時間は、とても貴重なもののように思えました。
さて、そうしてたどり着いたのが、サンタマリアラレアルデラヌエバという街。
昨日泊まった村や、今日通ってきた村がとても小さくてほとんどなにもお店がないところだったので…バルが2軒もある!銀行まである!教会がおっきいー!人もいっぱいいる〜!と謎の感激(笑)
アルベルゲは、着いたらドアが閉まっていて、張り紙がしてある電話番号に電話してくれとのことでした。
で、でたよ電話パターン…!大丈夫かなあ…。顔を見て話せばジェスチャーとかでなんとかなるけど、電話はなんとかならないんだよぉ(笑)
しかし迷っていてもらちがあきません。勇気を出してダイヤルして、昨日と同じようにカタコトで「私はペレグリーナで、今夜アルベルゲに泊まりたい」と電話口のオスピタレイロさんらしき男性に向かって喋りました。
「今どこにいるの?」「ドアの前!」「じゃあ30分後くらいにそこに行くから待ってて!」「わかった!」
…そんなやりとりだったと、思う。
人間土壇場になると脳が活性化するんかな…。
でも、ちゃんと聞き取れたのか自信がぜんぜんなくて、もし伝わってなかったらどうしよう、いくら待っても誰も来なかったらどうしよう、次の街は10km先……野宿ぜったい寒い死ぬ………などなどと考えながら、寒くなってきたのでレインポンチョを羽織ってオスピタレイロさんの到着を待ちました。
待つこと30分、オスピタレイロさんきてくれたーーー!!!!!良かったぁぁああ。
心底ほっとしました。
中は木造りのとてもかわいらしい建物で、ベッドは6つあります。
暖房もついていてあたたかい。ああ、ありがたい。よかったぁ。
今夜も無事、寝床を確保することができました。
さあ、これから勇気を出して、バルへ出かけて晩ご飯をいただいてきたいと思います…!おなかへったよぉ〜。あぁ〜。人見知り緊張するよぉ〜。あぁ〜(笑 毎晩この調子である)
それではまた、おやすみなさい!
つたない巡礼記ですが、お読みくださりありがとうございます。明日からも旅は続きます。
たまゆりでした!
見渡す限りのきれいな景色ですね!
フランス人の道のメセタの台地の区間は、ぼくは好きでした。
秋らしい最高の道ですね!
奇跡的な虹がきれい!!
寒いと思うので気をつけて歩いてください。
本当だ。メセタに似ている景観ですね。ここもメセタ地帯の一部なのかな?
オフ時のアルベルゲの開けかたも経験のなせるワザですね。こういう外国の人達との会話は新鮮な体験だと思います。