リアルタイム巡礼記2019

【巡礼23日目】北の道・フランス人の道、どちらも歩いて感じた違い。自分の底力に出会う道。

6/7【巡礼23日目 オビエド〜エスカンプレロ】歩行距離:12.6km

みなさまこんにちは!たまゆりです。


今日からいよいよ、オビエドを出発しプリミティボの道を歩き始めました。

今日は、せっかくいいホテルに泊まっていたので、朝勇気を出してルームサービスの朝ごはんを頼み(めちゃめちゃテンション上がりました!笑)のんびりチェックアウトの12時まで過ごした後、少しだけ先の街を目指して歩きました。


雨が降ったり晴れて陽が射したりと不思議なお天気の中、絵画のような色合いの風景が、光の模様を刻々と変えていくのが本当にうつくしかったです。

さて、今日は、ここまで歩いてきた北の道について、自分自身の区切りのためにも?改めて一度振り返ってみたいと思います。

私は、3年前にフランス人の道を歩き、今回、2度目のサンティアゴ巡礼で北の道に挑戦しているのですが…

その中で、フランス人の道と北の道は色んなことが違う!!!と思うことが多かったです。

なので「北の道とフランス人の道の違い」を中心に、道の様子や宿、食事、言葉、風景などについて感じたことを書いておきたいと思います。

北の道を歩くことを検討されている方にも、なにか参考にしてもらえることがあれば幸いです。

※特に天候や宿についての記述は、私が歩いた5〜6月初旬のことを書いているので、他の季節はまったく状況が違う可能性もあります。そして、全ては個人の見解ですので軽い参考までに。あしからず。

◾︎道について

・北の道は、全体的にとにかくアスファルト道が多い。スピードを出した車がビュンビュン通る幹線道路脇を、数kmにわたって歩くこともしばしば。舗装道は固くて足への衝撃が大きいため、関節の痛みや疲れの原因になりやすいです。

・アスファルト以外の未舗装道は、基本的に牧場用、まれに林業道路。とにかく牧場がめちゃくちゃ多いので、フランス人の道以上に長区間に渡って動物のフンがたくさん落ちています。踏まずに歩くのに気を遣います(笑)

・序盤は山道がすごく多い。土の斜面は、雨が続いた後は特に巨大な水溜りや川のようになってグチャグチャになります。道幅いっぱいが水溜りで避けられない場合もしばしばあり、ズボンや靴はドロドロに汚れます。
よって靴は、ハイカットかつ撥水性のあるゴアテックスなどの素材がおすすめです。(アスファルト道にも対応できるよう軽くて柔らかいことも大事だから、難しいところなんだけど…)

・序盤以降は道のアップダウンは多少落ち着きますが、フランス人の道と比べればそれでもかなり激しい気がします。100〜300mの丘や山の上り下りは、ほぼ毎日あります。

・黄色い矢印やモホンは基本的にしっかりありました。でも、ハイウェーやリゾートな街は特に矢印が少ないので注意。車道脇の草刈りがされておらずモホンが見えなくなっていて、分岐を見逃したこともありました。
道に迷ったり、本当にここカミーノかな?と少しでも不安になった時は、こまめにスマホ地図のGPSで現在地や方角を確認したほうがよさそうです。

◾︎天気、気温(5〜6月の場合)について

・フランス人の道よりも圧倒的に雨が多い印象です。体感的には、日数でいうと雨5:晴5の割合。3日晴れたら4日雨でまた4日晴れる、みたいな感じで、約半分は雨かなあ。

・特に天気が荒れた時には、雨が3〜4日間、一日中、嵐のように降り続きました。完全にスッキリ晴れ!という日は数えるほどで、晴れていても急に真っ暗になって、にわか雨が降ってきたりと天気が不安定な日も多かったです。

・フランス人の道に比べて気温は低めです。
が、とにかく湿度が高い!なので、晴れるとめちゃくちゃ蒸し暑いです。特に海に面していない低地などは風がないので汗が噴き出します。逆に荒天の場合は、海からの強い風も吹くので体感的にはかなり寒いです。

・天気や時間帯による寒暖差がとても激しいのと、道のアップダウンにより体温も頻繁に上下するため、服装による温度調節、体調管理にはかなり気を使う必要があります。

・また、道の上には屋根のある休憩所はあまりないので、雨の日は座って休憩できる場所がきわめて少ないです。そのため、雨の日ほどムリして歩いてしまい、体に負担をかけることにもなりがちなので注意が必要です。

◾︎食事について

・フランス人の道に比べると、バルやレストランの数はかなり少ないです。小さな街や集落はあっても、住宅のみで一軒も店がない場合も多く、10km以上の間食べ物に出会えないのも普通です。フランス人の道のように、お助け的な山の上の移動販売車も見かけませんでした(これは季節によるかも?)。

・リゾート地、観光地であるサンセバスチャン、ビルバオ、サンビセンテなどの街は物価が高い。ボカティージョ+ワイン一杯で普通なら2.5€のところが6€くらいの値段。食事メニューも普通なら9〜12€だけど、観光地だと17€くらい。

・メニューは海鮮や肉料理が多くて美味しい!名物はファバダ豆のスープ、海鮮パエリア、バカラオのトマトソース、豚肉にハムとチーズを挟んで揚げたカチョボなど。

・どのバルやレストランでも、ワインを頼むとその土地のローカルなハウスワインが出てきます。どこで飲んでもすごくおいしいです!

・食事の時間に注意が必要かも。よほどの観光地でない限りは、ランチ(COMER)は13時〜、ディナー(CENAR)は19時〜と遅めのところが多かったです。
街を通過するタイミングが合わないと、食いっぱぐれるので注意。スーパーで保存のきく食料を買って常備しておいたり、バルを見つけたらなるべくボカティージョなどの軽食をとるようにして、できるだけ空腹状態は避けたほうがいいです。食べられる時に食べとけ!って感じ(笑)

◾︎宿泊について

・道沿いにアルベルゲはもちろんあるけれど、フランス人の道と比べるとやはり圧倒的に数が少ないです。レストランやバル同様、10〜15km宿がないのも普通なので、宿の位置により自然にその日の歩く距離が決まる感じです。

・オープンの時間が15時や16時からと遅めのところが多いです。
特に雨の日は、早く着きすぎると扉も鍵が閉まっていて誰もおらず、待つにも雨宿りできる場所がなくとても困るので注意!雨の日は朝ゆっくり出て、アルベルゲのオープンに合わせて着くようにするなどの工夫が必要でした。

・体調や天候を鑑みながら、前日か当日朝にどこまで歩くか決めておくのが基本でした。
自分の足や道のアップダウンの有無から判断して、どの時間にバルのある街について食事をとり、どの時間に宿のある街に着くか、などを、毎日出発前にある程度考えておく必要があります。

・5月6月は、基本的に予約がなくても満室で泊まれないことはなかったです。予約は一度もしていません。

・アルベルゲの設備については、キッチン、シャワー、WiFi環境(ないところもある)、洗濯機など、フランス人の道と同じく必要十分で申し分ないことがほとんどでした。値段も、5〜12€程度と大きな違いはありませんでした。

◾︎言葉について

・レストラン、バル、アルベルゲの人たちや、一般の地元の人には基本的に英語はあまり通じません。スペイン語オンリーか話す人がいてもカタコトで、英語だけではコミニュケーションがひじょうに難しいです。

・バルやレストランのメニューもよほどの観光地以外は英語版はないし、薬局なんかでも英語が通じません。なので、欲しいものが思ったように手に入らないこともあります。
簡単なスペイン語を使えるようにするのはもちろん、翻訳アプリを使うなどの工夫が必要かもしれません。

◾︎風景について

・自然が本当に豊かで美しい!

・雨が多いためか、どこもかしこも緑と水にあふれています。緑のトンネルのような森や林、小川のせせらぎの脇を通る道も多く、緑ははっとするほど鮮やかです。道の脇にはありとあらゆる色の花も咲いています。

・また、海の景色もすごく綺麗です。晴れた日の大西洋は特に、青くて広くて本当にいい眺め!
以前に北の道を歩いた友人から「思ったより海沿いの道は少ないよ」と聞いていたからかもしれませんが、私個人としては思ったよりずっと、海を見ながら歩ける日が多いように感じました。
砂浜が広がるビーチから、断崖に打ち付ける波、ボートが浮かぶ港街など、あらゆる海の風景を楽しみました。

・牧場もめちゃくちゃ多くて、馬、牛、羊、ヤギ、毎日ありとあらゆる動物に会えます。鳥のさえずる声も毎朝ハンパないです。犬や猫もものすごくたくさんいます。

・街は、歴史ある古い街というよりはリゾート、別荘地、ニュータウンといった感じのところが多かったです。街の教会も、ガイドブックに載っていても扉が開いていないことがほとんどで中が見学できることは稀。フランス人の道と比べて文化・歴史的な面白みは少ない印象でした。

★特に綺麗だった、楽しかった場所のメモ

・イルン〜サンセバスチャンの海と緑の草原
・オリオ〜ゲタリアの海沿いの道歩き
・カストロウルディアレス〜イスラレスの海
・ビジャビチオーザ〜ベガの間にある神秘的な森の山道、山の上からの緑の丘が広がる眺め
・ビルバオのグッゲンハイム美術館
・セナルーサのモナステリオ
・サンビセンテデラバルケラの雪山と海とラグーンの贅沢な風景

◾︎まとめ・気が付いたこと

地元の人があまり巡礼者に慣れていない

フランス人の道よりも圧倒的に巡礼者が少ないので、沿道の住人の方たちやお店の人も巡礼者の扱いに慣れてなかったり、たまに不審がられたり(笑)、歩きやすい道や、見やすい道標も整っていない感じはありました。草ボーボーでモホンが完全に隠れてたりとか(笑)

みんな無愛想に見えがちなので、初めは戸惑ったけれど…笑顔で挨拶して話しかけたり質問すれば、優しくしてくれるとても親切な人が多いです!

フランス人の道ではなんとかなったことが、なんとかならない

雨が多い、言葉が通じない、宿が少ない、レストランやバルが少ない、WiFi環境も少ない、ほかの巡礼者とほとんどすれ違わない…など、さまざまな理由により【フランス人の道ではなんとかなったことが、北の道ではなんとかならない】ような状況も多いと感じました。
私は結局使えなかったのですが、緊急時などの通信や情報入手の手段として、できれば常にネット環境はあったほうがいいと思います。

巡礼者同士も、必要以上に馴れ合わない?

巡礼者同士、仲間として、困った時にはものを貸し借りしたり道を教えあったりと助け合います。当然すれ違えば挨拶するし、バルで会えば一緒にご飯を食べたりいろんな話をしたり。

ですが、フランス人の道よりも自立的?というのかな…必要以上に行動を共にしたりはしない印象。全員がそうだというわけではないと思いますが、あくまで私は私で歩く、あなたはあなたで歩く。という雰囲気が全体としてある気がします。

そして、そもそも巡礼者の母数が少ないので、歩いている途中はほとんどすれ違いません(泣)

そんな感じなので、1人で行く方は特に!!体調や栄養管理には特に気を付けよう(自戒)

「よそ者としてお邪魔している」感覚が強い

北の道の巡礼は、道を歩くにしても店で買い物をするにしても「地元の経済圏(またはリゾート経済圏)によそ者としてお邪魔する」感じが強いです。

フランス人の道は、巡礼者のためだけの移動販売車があったりとか、バルでは英語も通じるとか、巡礼者が多いゆえに巡礼を中心とした経済圏が出来上がっていて、それゆえに巡礼者ウェルカムな特別な場所だったのだなあ、と感じました。

北の道では、巡礼者用の宿として整備していただいているアルベルゲを除けば、巡礼者を中心ターゲットにしたお店等はきわめて少ないように思えます。

それゆえに、バックパックを背負った徒歩の旅行者にとっては、不便で思い通りにならない場面、厳しい場面も多いのは確かです。

個人で異国を旅するのであれば、あたりまえに意識しなきゃいけないことかもしれないのだけれども…。
改めて「郷に入っては郷に従え」の精神と「誰かがなんとかしてくれる、守ってくれるだろうという甘え」を減らすことが必要とされるなと感じました。

体力、精神力、コミニュケーション力、自己管理力が試され鍛えられる?

以上、まとめてみると…

北の道では

「きついアップダウンや厳しい天候に対応する基礎的な体力」
「トラブル時に自分自身である程度対処や判断ができるそれなりの海外経験」
「退屈や孤独に耐えうる精神力」 「言葉が不自由でも相手になんとか伝えるコミニュケーション力」
「自分の体調を維持するための生活面の自己管理力」

などが必要とされ、試されるのではないかなと感じました。

私はもう、そんな覚悟もまるでしてなかったし、あらゆるスキルや知識が足りてなかったから、いきなり体調崩して撃沈したけどね…。(笑)


でも、意志さえあれば、失敗して撃沈してボロボロになりつつも、さまざまな面で自分を鍛えることができるすばらしい場所であると思います。

精神力も体力もコミニュケーション力も自己管理力も、間違いなく養われる…養われたと思いたい…っ!!!!笑

北の道を歩いて知った、新しい自分

私がフランス人の道を歩いた時に感じたのは、何があっても受け入れられている、愛されている、守られ導かれているという感覚からくる、安心感にも似た自信や自己肯定感でした。

安心できる環境でゼロに還り、改めて「自分の軸がなんなのか」を発見したような感じ。


そして、私にとって今回の北の道は「じゃあ次に、その自分の軸をどのように貫くか?」というステップを教えてくれた気がします。
より野生的、突破的、実戦的なパワーというか…。

「現実世界を自分らしく生きようとすれば、苦境や困難、孤独に出会う」ということを教えてもらうと同時に「それを乗り越える力が、自分にはちゃんと備わっている」という自信も与えてくれたような気がします。


フランス人の道と北の道、どちらも歩いた今になって感じること。

どちらの方がより良いとか悪いとかじゃなく、私にとって、どちらが欠けてもいけない二つの表裏一体の力だったのだと思います。

大変だったけど(笑)、心から歩いてよかったと思う。今。

うん!

以上、こんなかんじです。

何か参考になることがあるといいのですが。

私の失敗を、どうぞ、お役立てくだされば幸いです!私の屍を超えてゆけっ!!笑


…って、とかなんとかまとめてるけど、ここから先さらにアップダウンが激しく標高が高く人も少ないと言われるプリミティボの道を進んでいくんだったぜ。エヘヘ。

さて、この先はどうなるのか…

北の道を歩いてきて得たことを活かして進めるのか、はたしてまたも挫折や苦境に出会うのか…?!!

それは私自身にもまだわかりませんが、新しい自分と新しい道を歩き出せるということに、自分が一番ワクワクしていると思います。今。

不束者ではございますが、帰国まで今しばらく、なにとぞお付き合い頂けたら幸いですm(_ _)m

それでは、おやすみなさい。たまゆりでした。

 

巡礼記の続きはこちら。

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POSTED COMMENT

  1. クリストフ より:

    いろいろと参考になります。北の道もフランス人の道と同じく混雑していたらどうしようかと思いましたが、少なくともこの時期は孤独が味わえるのですね。まだまだ文字通り「山あり谷あり」でしょうが、お気を付けて。

  2. 匿名 より:

    すっごくわかりやすい分析、解説で勉強になります。
    たまゆりさんのブログをずっと読ませていただいてたので、フランス人の道との違い、参考になりました。
    巡礼中、「フランス人の道が一番よかった」という言っていた巡礼者(フランス出身の初老のおじさん)もいたけれど、人それぞれ、その人のタイミングでベストな道を歩いている(歩かされてる?)のかもしれませんね。

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