2020年11月25日
中山道歩き2日目
日本ライン今渡駅~伏見宿~御嶽宿~細久手宿(大黒屋旅館 泊)
歩行距離:24.52km
さぁ今日もいざ出発!
中山道歩き2日目の朝。
今日は、楽しみにしている目的地が決まっているので、張り切って早起きします。
自宅最寄り駅から15分ほどの日本ライン今渡駅で降り、仕事へ向かう人たちの姿を見送りつつ、トイレに立ち寄り身の回りを整えて、朝8時。
さぁ今日もいざ出発!
遠足の楽しみ、行動食を調達。
太田の渡し~伏見宿~御嶽宿までこの区間は、しばし国道21号線沿いを進みます。
これといって見所らしい見所があるわけでもないのですが、街中の国道沿いといえばいろんなお店があります。
まだ朝が早いので、やっているところは少ないのですが、ちょうど街道沿いに大きな格安スーパー「ザ・ビッグ」を見つけました。
今日はここで行動食を買おうと決めていました。
家の近くのスーパーであらかじめ買っておいても良かったんですが、旅の途中で初めて行くスーパーに立ち寄る方が面白いなと思って。
あらかじめ、今日のお宿のご主人から電話で、先の区間にはなにも食べるものがないと聞いていたので、パンや大福、チーズ、お菓子、ポカリスエットなどをたくさん買い込みます。
はじめて行くスーパーって、なんだかそれだけでワクワクするよね。
旅の強者と出会う。
買い出しを楽しみつつ終えてすぐ先の伏見宿まで歩いて行くと、綺麗に整備された休憩場がありました。
近づいて行くと、そこには、自転車にテント、寝袋、たくさんの荷物を積んだ旅人の姿が!
私も休憩しようと近くに腰掛け、お話を聞いてみると、九州から北海道、また北海道から九州まで自転車で、もう半年以上も旅を続けている方でした。
彼はまさに今寝袋を畳んでいるところで、野宿で旅をされていることがわかりました。
すごい…。
私も、長い歩きの旅をしようと思った時、野宿をしたい、できるようになりたい、でもそれはとてもハードルが高いことだと思っていました。
それを、この人はしている…。
「カッコいいですね」思わずそう口にすると、いかにも人懐こく人の良さそうな表情で「実際は、毎日ボロボロなんですけどね」と苦笑する旅人さん。
それでも私には、その表情がなんだかキラキラ輝いて見えたのでした。
おばあちゃんの優しさ。
しばらく話し込んでいるとそこへ、割烹着を身につけた優しそうな一人のおばあちゃんがやってきました。
すぐ近所に住んでいるというおばあちゃんは、昨日からここに泊まっていた旅人の彼に、食べ物を渡そうと野菜を持ってきてくれたらしいのです。
今は、一緒に住むおじいちゃんの介護で、なかなか外に出ることもままならないというおばあちゃん。
「私も、歩くのが好きでね。じいさんが元気な頃には歩いてどこまでも行きよった。今はできんけど、あんたたちがうらやましい。」
瞳を輝かせながら、そんな風に話してくれました。
そして最後に「体に気をつけて、ちゃんとご飯を食べて、無事に旅するんだよ」と、私たち二人に声をかけてくれました。
やっぱり、旅っていいなぁ~。
すごくすごく、嬉しい出会いだったし、すごくすごく、いい時間だった。
みんな、それぞれ年代も、背景も違うけれど、旅するということの魅力、それが人に与えるポジティブな力を感じることができた瞬間でした。
こうして今自分が自由に旅をできる恵まれた環境に感謝して、旅ができる今日をせいいっぱい楽しもうという気持ち。
こんなにがんばっている人がいるから、自分も負けずに歩いて行こうと勇気をもらえること。
そして、そうして旅ゆく人をなにか手助けしてあげたい、健康に無事に、楽しんで旅を続けてもらいたいと思う、掛け値のない祈りや優しさ。
きっと、大昔にこの中山道を歩いた人々も、それを出迎えた宿場町の人々も、おなじように、心を通わせながら歩いていたのかもしれません。
やっぱり、旅っていいなぁ~。
そんな風に、とてもじんわりと嬉しい気持ちになりながら、伏見宿をあとにしたのでした。
ちょっぴり寄り道お昼休憩。
そのあとも、てくてくと、ひたすらに続く国道沿い歩き。
けれど、徐々に周りはのどかな風景に変わっていき、だんだんと山深い地域が近づいてきているのを感じます。
御嶽宿から少し行った先で、ちょっぴり寄り道してお昼ご飯休憩。
平日だというのにあとからあとからお客さんがやってきて、とても繁盛していました。
ここで、あたたかい自然薯のとろろそばと、コーヒーをいただいてしばし休憩。
自然薯はほんのり麦色をしていて粘りが強く、味わいもとても濃厚でした。
坂の上のマリア像。
さて、ここでの休憩を終えると、道はいよいよ本格的に山の中へ。
途中、きれいな石畳が残る「謡う坂」を登ります。
この坂の途中には、なんと美しいマリア像が立っています。
なんでもこのあたりは、昔隠れキリシタンが住んでいた場所で、こっそりとキリストの教えを崇拝するためのマリア観音や、十字が彫られた石が多く発掘されているそうな。
中山道を歩いていて、まさかこんな出会いがあると思わなかったので驚きでした。
直接関係があるわけではないのだけれど、なにかカミーノとのご縁を感じて、感謝の気持ちを込めてそっとお祈りをしました。
たくさんのお菓子で一休み。
その後も続く、アップダウンにアップダウンの連続の山道。
朝は気持ちよく晴れていたはずのお天気もだんだんと曇り空になり、どんどん日は傾いてきて、だんだん気持ちが焦ってきます。
そんな中、出会ったひとつの休憩どころ。
まだ建物は新しくてピカピカで、窓からそうっと中を覗くと、穏やかな雰囲気のお父さんが快く招き入れてくださいました。
山の中で日が暮れちゃったらどうしよう…とちょっぴり焦っていたから、迷ったけれど、お父さんの人の良さそうな仕草におもわずつられて、一休みしていくことに。
中は囲炉裏とカウンターのある、まるでスペインバルのようになっていて、カウンターに座って、乾いた喉を潤すコーラをいただきました。
「これも食べなさい、これも持って行きなさい」
と、お手製の柿やりんごのとても美味しいドライフルーツを出してくれたり、お菓子を「もういっこ持って行きなさい」とたくさん出してくれたり。食べきれないぶんは袋に包んでくれて。
ここでも、掛け値のない気遣いや優しさに触れ、元気をチャージしたのでした。
かけがえのない旅の宝物。
掛け値のない人の優しさにこうして触れること。
それこそが、旅のいちばんの宝物なのかもしれない。
この1日を通して、ふとそんな風に思いました。
こうして旅をすることで得られるものは、とってもたくさんあります。
美しい景色や自然に出会ったり、新しい経験に出会ってワクワクしたり、食べたことのないものを食べたり、未知のことに挑戦して自分の中の壁を破ったり。
そして、その中でもひときわかけがえのない旅の宝物は「人の優しさに出会えること」なんじゃないかと思ったのです。
お互い初対面同士で、もう二度と会うこともないかもしれない。
それでも、目の前の人に、無事に旅を続けて欲しい。なにか自分にできることをしてあげたい、そう願えること。願ってしまうこと。
そんな、混じり気のない人情、人の優しさに触れると、なんだかじんわり胸が温かくなります。
ちょっとおおげさかもしれないけれど、そういう瞬間、私は「ああ、生きててよかったな」と思い「これからもこの世界で元気に生きよう」と思える気がするのです。
次回へ続く。
そうして、またそこから山を登っては下り、登っては下りを何度もくりかえして。
山の端に太陽が隠れてあたりが薄暗くなってくるころ、ようやく今日の楽しみにしていた目的地・細久手宿のお宿に到着できたのでした。
…このお宿が、それはもうすばらしくって!
続きを書きたいのですが、長くなってしまうのでまた次回。
明日以降も、ゆるっと続きを書いていきます。
おすすめ立ち寄りスポット
最後にこの区間のおすすめ立ち寄りスポットをば。
■日本昔ばなし的空間でいただく濃厚自然薯「自然処」
場所:御嶽宿の先、耳神社に向かう峠の少し先の国道21号線沿い
外観からして、江戸時代から飛び出してきたような雰囲気たっぷりの空間。
とろろそばや、自然薯たっぷりの定食がいただけます。食後のコーヒーも美味しかったです。
■ハーブ園に囲まれた森の中のケーキ屋さん「La Province」
場所:御嶽宿と細久手宿の間。謡う坂を登りきった峠のてっぺん。
地元ではよくテレビにも紹介されている有名店で、ケーキが絶品だそうです。(残念ながら、私は休みどころでお菓子を頂きすぎてお腹いっぱいで立ち寄れず笑)
洒落た雰囲気に怖気つきそうになりますが、お店の方は中山道ハイカーさんにも慣れていらっしゃるとのこと。
■岐阜の自然の恵み!肉!!「オーガニックフーズ中山道ハム」
場所:細久手宿の少し手前。
ここも、すごく立ち寄りたかったけど日が暮れるのが怖くて行けなかった…!!
中山道の山道を少しだけ外れたところにあります。街道上に看板あり。岐阜県産豚肉を使った自家製生ベーコン、ソーセージ、ハムが買えるそうです。HPの写真見るだけでよだれが…。絶対美味しいやつです。